使いやすく愛せる家を
旭市K邸
昨年末に引き渡しをしたばかり、Kさんの新しい暮らしを拝見してきました。5歳と9歳のお子さんをお持ちのKさんご夫妻。建てるなら子供が独立した後も暮らしやすいコンパクトな平屋とずっと考えていました。 限られた空間をいかに効率的に使うかを突き詰めたKさん一家の家づくり。 その背景にはKさん一家の大切なものの存在がありました。これまでの道具と新しい家を、Kさんたちはどのようにマッチングしたのでしょうか?
徹底した合理化は 愛の現れ
「合理的な間取り・動線を考えるのが好きなんです」 とおっしゃるご主人。その原点は、中学生のころから好きだったという建物の本やテレビ番組。長年見続けているうちに、自分だったらこうしたいと考えるよう になりました。
いざ始めた家づくりでも、至るところでこだわりを発揮。「学校関係のものはひとまとめに」と考案したお子さん達のカバン置きには、コートハンガーや帽子掛け、教科書立てを配置。必要なものが一目で見つかる、お子さん自身で管理しやすいものになりました。完成した家はKさん一家に合わせて最適化した、まさしく一品ものです。
その裏には持ち物のサイズを調べ、最適な場所を検証するという綿密な作業がありました。親戚から譲り受けたピアノや、子供の収納といった大きめのものにもぴったりの居場所を見つけました。どっぷりと家づくり にのめり込んだことで産みの苦しみも味わいましたが、今思えば最高の時間だったとご主人は微笑みます。
じっくりと使い込むのがKさん達のスタイル
新生活を始めるにあたって、買い足したものは洗濯機だけというKさん一家。ダイニングテーブル、椅子、チェストにテレビボードといったお気に入りの家具たちとは、今では15年来の付き合いです。
特に、ご夫妻お揃いで買ったYチェアは、学生時代からずっと憧れていたもの。白くさらさらした質感は年月を経て、艶のある飴色に変わりました。汚れが少し気になり始めた座面を張替えて、これからもずっと使い続けたい愛用品です。
ご夫妻共通の想いは、長く愛せるよいものを選びたいということ。納得して手に入れた愛用の品を、じっくりと使い込むのがKさん達のスタイルです。
大切なものに 居場所を
結婚前に古道具屋で買った、奥様愛用の水屋たんす。大工さんに頼んでキッチンの一番いい場所に据え付けてもらいました。
床置きしていたものが、使いやすい位置に移動して毎日フル稼働です。
10年ほど前に、二人で大会にも参加した想い出のロードバイクは、玄関土間に置けるようになりました。これからは家族四人で並んで走るのが楽しみです。
ずっとしまったままだった奥様の趣味の紅型の道具一式も、すぐに取り出せる場所に置くことに。夢中になって型紙をつくり染物をした、当時の気持ちが蘇ってきます。
お気に入りの家具や道具と一緒に、丁寧に使い込まれていく家。そんな姿が目に浮かぶKさんのお宅でした。