偶然に導かれた必然の住まい
山武市S邸
ご家族でレストランを営んでいるSさんのご自宅は、お店から車で2分ほどの距離にあります。
木々に囲まれた大きな石のステップを上がると、ファサードに大谷石を積んだ印象的なエントランスが現れます。
大谷石はSさんのお好きな建築家が多用しているもの。
エントランスが続く玄関壁にも大谷石を使用し、壁面は屋内までダイナミックに続きます。
瀟洒なペルシャ絨毯に導かれ進んだ先に広がるのは、LDKの大空間。
昔からアートやデザインがお好きだったというSさんは、住まいづくりに関しても「優先すべきはデザイン性」とご希望は明快でした。
多忙な日々を送るSさんにとって、ご自身の好みで設えた住まいは、心からの安らぎを得られる場所。
目に映るシーンどれもが美しくあることが、何にも優るこだわりです。
意匠優先のSさんに対して、暮らしやすい動線や工夫を提案する設計士と密度の濃い打ち合わせを重ねました。
意外なことに「元々、まだ家を建てるつもりはなかったんです」とSさん。
2019年に東金市で開催された「ちば家博」の会場にたまたま訪れた際、ハヤシ工務店の住まいに対する考え方に深く感銘を受けたそう。
そして、いつかは 建てようと漠然と考えていた自宅の建築を即スタートしました。
家づくりを始める際、Sさんが思い描く住まいを実現できるのは「ハヤシ工務店しかないという確信があったから、他社へは見学や相談にも一切行かなかったとのこと。
偶然にも設計を手掛けたスタッフが、奥様の知人の友人であったと知り「ご縁があって、家づくりのちょうどいいタイミングに出会えたんだな、と感じました」
日々是好日
2021年春に完成した住まいに暮らして半年が過ぎ、「ご感想は?」の問いに「大満足です」とSさん。
「家に帰る度にワクワクする気持ちがまだ続いています。」
ご自宅も職場もずっと一緒のご夫妻にとって、住まいはオフモードに切り替わるための大切な場所。
だからこそ細部までこだわって、壁や床の素材から、照明、ドアノブ、スイッチまで、Sさんの好みをすべて反映しています。
キッチンにはご主人の希望で業務用厨房設備を導入しました。ステップフロアと天井の高低差で仕切られたキッチンが、一枚の絵のような静謐な雰囲気を醸し出しています。
ダイニングでひときわ存在感を放つのは、ケヤキ一枚板のテーブルです。
Sさんが木材の初競りへ同行し、自ら選んだ天板は、重機でなければ動かせないほどの重量。
完成後に設置することができないため、上棟式の日に搬入したそうです。
自営業のため、この食卓で家族そろっての夕食はお店の定休日のみ。営業日は子どもたちも学校から直接お店へ帰り、宿題もごはんもお店で済ませます。
学校の休日に合わせて家族旅行に行くことも難しいので、家で過ごす時間は貴重な団らんのひととき。
奥様が「一生モノとして、思い切って購入しました」というペルシャ 絨毯の上に家族が集い、ゆらめく薪ストーブの炎を眺めながら冬の夜が更けていきます。
美しい暮らし
調度品は本当に気に入ったものだけを最小限に、壁にはご主人が描いた油絵2点のみ。
生活感の元凶とも言える、ゴミ箱と電気コードのごちゃつきはどこにも見当たりません。
「これほど整った状態を維持するのが大変では?」と伺ったところ、「すごく忙しい時はもう、出しっぱなしにしちゃいます」とほほ笑む奥様。
家電は、見えないけれどワンアクションで使える位置に収納し、調理器具や食器は眺めるだけでも美しいものをセレクト。
細やかに重ねた工夫とストイックに構えすぎないおおらかさが、美しい暮らしを実現しています。