百術不如一誠

社長ブログ

百術不如一誠

熱伝導率VS熱拡散率(温度伝導率)

前にもこのブログに投稿したかもしれないが、

日本式気密の指標である「C値」競争や外皮のUA値競争は・・

「いかがなものか!」

性能の見える化としてお客様はわかりやすいのかもしれないし、

大手ハウスメーカーもある一定の性能を担保しはじめたので、

日本の住宅の性能はほんの少しだけど良いほうに底上げしてくれているので、

競争は良いことだという方もいるかもしれない。

しかし、私は全面的に賛同できない。

気密のことは何度も投稿してきたので、今回はUA値について、

全面的に賛同できない、「いかがなものか?」の訳を書きたい。

まずは、UA値とは何ぞやということです。

前にも書いてますが、UA値「外皮平均熱貫流率」

熱貫流率(U値)を外皮(屋根・壁(窓も)・床)の面積で割った

平均(A:アベレージ)です。

値が小さいほど良いとされる。

すでに承知の方は、だから何?当たり前の話と思うかもしれませんが、

この熱貫流率U値を求めるときの前提に懐疑的なのです。

まず、

熱貫流率U値とは、材料自体の熱の伝えやすさだけでなく、材料の厚さも加味して熱の伝わりやすさを表した値で、

屋根や壁・床について、室内外の空気温度に1度の差があるとき、1時間にに壁1㎡を通過する熱量を表していて

数値が小さいほど断熱性能が良いことになる。

つまり、熱貫流率(U値)とは熱の伝えやすさを表した値であり、これは熱伝導率を元に求めます。

まさに、この熱伝導率が「いかがなものか?」の私の根拠になるわけだ。

熱伝導率(λ値)は各断熱材のメーカーさんのカタログにきちんと明記してあります。

そして、断熱材の厚みを考慮して熱抵抗値(R値)を求めてその合計の逆数が熱貫流率U値になるわけだが、

この大前提としてこれがある。

室内外の空気温度に1度の差があるとき、1時間にに壁1㎡を通過する熱量の値

でしかないということだ。

つまり、

熱伝導率とは「定常状態」での熱の伝わりやすさを表す指標でしかないということだ。

ここで弊社のスタッフであればピンと気づくとおもう。

「定常状態」とは時間が経過しても環境が変化しない状態のこと!

逆に

時間の経過とともに環境が変化する状態を「非定常状態」という!

ここで、結論的なことを言ってしまうが、

非定常状態においては、熱の伝わり方の指標は

熱拡散率(他のいい方は、温度伝導率、湿度拡散率)なのである

もうご理解いただけただろうか?

熱伝導率に比熱効果やそのもの自体の密度つまり、熱容量を加味して

熱拡散率(温度伝導率・湿度拡散率)を考慮すべきだということだ。

これが、

弊社が、非定常計算を大事にする理由だ。

外皮は、時間とともに温度変化に晒される。1日24時間しかも、

春夏秋冬365日なのである。しかも、各地域の気候データも欠かせない。

ここでとても簡単な例をひとつ挙げる。

比熱が大きく密度(重量)が大きい物質は、熱容量が大きく熱を蓄える能力が高くて、

WF(55k)の熱容量はGW(16k)の6倍以上あり、熱を蓄える能力が格段に大きい。

容量の大きな住宅では、室内温度変化が外気温にあまり影響されない。

上の表にて、非定常状態においての熱の伝わり方の指標である熱拡散率を比べると、

高性能GW16Kよりウッドファイバー55kのほうが、7倍熱が伝わりにくいということだ。

(熱伝導率で考えると同じなのだが)

もし、ウッドファイバーがグラスウールと同じコストならどちらがお客様のためになるのかは一目瞭然である。

しかしながら、UA値を否定するものでもないことを付け加える。

実際、お客様にわかりやすくWEBサイトに載せておりますので。