ハヤシ工務店 広報のぬくぬく担当 加瀬です。
気づけば、朝晩がずいぶんと冷え込むようになってきました。
先日、リビングのテーブルに薄めのやつですがこたつ布団をかけました。
これを出すと、「ああ、冬が来るなぁ」と毎年のように思います。
こたつ布団を出すと、部屋の雰囲気が少し変わるんですよね。
ほんのり冬の空気が漂って、動きがゆっくりになる感じ。
外はひんやりしていても、家の中でぬくぬく過ごすこの季節の感じが、けっこう好きだったりします。
でも同時に、リビングに座っていると足元からじんわり冷気が…
うちのリビングは南向きで、大きな掃き出し窓がどーんとあります。
昼間は光がたっぷり入って気持ちがいいんですが、夜になるとそこから冷気が伝わってくる。
築年数の古い家なので、窓の断熱性能がいまの住宅ほど高くなくて、
冬になると「外の冷たさ」がそのまま伝わってくるんです。
窓の光と、冬のぬくもり
それでも、この大きな窓があるおかげで、冬の日中はリビングがとても暖かいんですよね。
南向きの窓から差し込む陽射しが、まるで天然の暖房のようで、
こたつに入らなくても、日中は上着を脱ぎたくなるくらい。
窓辺に座ってコーヒーを飲んでいると、
太陽の光が床を照らして、その反射で部屋全体が明るくなる。
その光の具合がなんとも言えず心地いい。
冬の柔らかい光というのは、どこか優しくて、
部屋の中の空気まで穏やかにしてくれるような気がします。
たしかに断熱の観点から言えば、ガラス面が大きいと熱は逃げやすい。
でも、あの“光のぬくもり”を感じられるのは、やっぱり窓があるからこそなんですよね。
窓のない空間の増加
最近の新築住宅を見ていると、
トイレや浴室に窓がない間取りが増えてきています。
理由としては、防犯面の安全性や、断熱性能の確保、
あとは設備の進化によって「換気や採光を機械的にまかなえる」ようになったこと。
たしかに、窓があると外気との温度差が生まれやすいですし、
掃除や結露の手間も増える。
見た目もスッキリするし、デザイン的にも合理的な考え方なんだろうなと思います。
でも、個人的には、あの小さな窓から漏れる光や風の存在が、
生活の中の“抜け”になっていたように感じるんです。
朝、浴室の窓から少し光が差してくるだけで、
なんとなく気持ちがしゃきっとしたり。
夜、トイレの小窓から月が見えるだけで、ちょっとだけ嬉しかったり。
窓がないことで、快適さは上がるかもしれませんが、
「暮らしの余白」は少しずつ減っているようにも思えます。
明るさと断熱、そのバランス
明るさと断熱。
どちらも大切だけれど、どちらかを取れば、もう一方は少し妥協が必要になる。
このバランスが、家づくりではいつも悩ましいところです。
冬に暖かい家を考えれば、できるだけ窓を減らしたい。
でも、窓を減らせば自然光が入らず、昼間でも照明が必要になる。
光のある暮らしと、熱を逃がさない暮らし。
どちらも“快適”という言葉の中に含まれているけれど、
その中身はまるで違うんですよね。
私自身、家のリビングでその“両方のありがたみ”を感じています。
昼間は太陽の暖かさを享受し、夜はひんやりした窓辺にブランケットを掛ける。
不便ではあるけれど、その不便さの中に“人らしい暮らし”があるようにも思います。
暮らしの明かりをどう設計するか
結局のところ、家というのは「性能」だけでは語れないものだと思います。
光が差し込む時間や角度、風が通り抜ける瞬間、
そういった感覚的な心地よさが、暮らしを豊かにしてくれる。
もちろん、いまの技術であれば、断熱性能の高い窓もたくさんあります。
ガラスの種類やサッシの素材を工夫すれば、
大きな窓でも十分に暖かく過ごせるようになってきています。
でも、それでもやっぱり、「窓をどう使うか」は、
その家に住む人のライフスタイルや価値観によって変わる部分なんですよね。
冬の陽だまりが心地よいように、
夏の風の抜けもまた、窓があるからこそ感じられるもの。
断熱も明るさも、どちらも“快適”の一部であって、
どちらか片方だけでは成り立たない。
熱も光も景色も抜けて
こたつ布団を出した夜、窓の外に見える月がやけに明るく見えました。
外は冷たい空気なのに、部屋の中はその光で少しだけ温かく感じる。
そんな小さな瞬間に、
「窓って、やっぱりいいな」と改めて思ったんです。
断熱の性能がどれだけ進化しても、
光のぬくもりや、外とのつながりを感じられる窓は、
やっぱり暮らしに欠かせない存在なんだと思います。
明るさと断熱。
そのちょうどいい関係を探しながら、
これからの冬も、こたつの中でぼんやり考えていこうと思います。
