ハヤシ工務店 広報の瓦担当 加瀬です。
冬の乾燥が続く今日この頃です。
空気がカラカラで、肌も喉もやられてしまいますが、こういう時期に増えてくるのが火災です。
実際、消防団から火災の通知が多くなってきました。
先日も、ハヤシ工務店のある旭市のど真ん中。国道からもすぐの場所で、日付が変わる頃に建物火災がありました。
現地に向かう途中、夜中だったこともあり遠くからでも火災が分かるほど空がうっすら赤くなっていました。
全焼と、屋根が落ちる瞬間
現場に到着した頃には、火元はいわゆる「延焼」という状態。
しかし、ほとんど全焼状態で 建物全体が燃え、骨組みだけがかろうじて残っているような、あの独特の光景でした。
消火対応をしている最中、燃えて脆くなった屋根の一部が、突然崩れ落ちました。
深夜の静けさも相まって、とにかくすごい音でした。
バリバリ、というよりも、
ドンッ、ゴンッ、といった、腹に響くような音。
正直、その音の「重さ」が妙に印象に残りました。
音が教えてくれた、瓦の重さ
屋根は瓦屋根でした。
ですから、あの重たい音がするのも当然といえば当然なのですが、
改めて、「こんな重いものが屋根の上に載っているんだな」と実感させられました。
普段、屋根の重さなんて、暮らしていると意識しません。
見上げることも少ないですし、瓦はずっとそこにあるものだからです。
でも、ああして落下する瞬間の音を聞くと、
瓦一枚一枚の重さが、急に現実味を持って迫ってきます。
「これは確かに、相当な重量だな…」
と、現場にいながら、そんなことを考えていました。
耐震は「強さ」だけの話ではない
最近の家づくりにおいて、耐震という言葉はとても身近になりました。
骨組みを強くする。
金物でしっかり固める。
構造計算を行う。
もちろん、これらはとても大切です。
ですが、それと同じくらい重要なのが、「重さ」をどう扱うか、という視点です。
どれだけ骨組みが強くても、
その上に重たいものが載っていれば、地震の際に建物にかかる負担は大きくなります。
地震の揺れは、建物を横に揺さぶります。
そのとき、上に載っているものが重ければ重いほど、
振り子のように大きな力がかかるわけです。
つまり、
「強くする」ことと同時に、
「軽くする」ことも、耐震には欠かせない要素なのです。
軽くなっていく、瓦のかたち
瓦といえば、重たい。
そんなイメージを持っている方も多いと思います。
実際、昔ながらの瓦は、確かに重量があります。
ですが最近では、見た目は瓦そのままで、
中身は非常に軽い素材で作られた屋根材も増えています。
聞くところによると、最近の寺社仏閣でも、
建て替えや大規模改修の際に、
瓦を同じ見た目の軽量素材に置き換えるケースが多いそうです。
伝統的な景観は守りたい。
でも、安全性も確保したい。
その両立を考えた結果が、
「見た目はそのまま、でも軽くする」という選択なのだと思います。
見た目の安心感と、本当の安心
瓦屋根には、どこか安心感があります。
日本の風景に馴染んでいて、重厚で、守られている感じがする。
でも、その「安心感」が、
必ずしも構造的な安心とイコールではない、ということも、
私たちは知っておく必要があるのかもしれません。
見えない部分の重さ。
普段は意識しない屋根の重量。
それらが、いざという時にどう影響するのか。
火災現場で聞いた、あの重たい音は、
そんなことを静かに、でも強く教えてくれました。
火災の現場から、耐震を考える
冬は乾燥し、火災が増えます。
火災の現場では、建物の弱い部分、脆くなる部分が、
容赦なく表に出てきます。
その中で、屋根が崩れ落ちる音を聞きながら、
「素材の選択」や「重さの話」は、
決して机上の空論ではないのだと改めて感じました。
耐震というと、どうしても数字や計算の話になりがちですが、
実際の現場には、こうした感覚的な気づきもたくさん転がっています。
瓦の音が重かった、という、ただそれだけの話なのですが、
そこから考えさせられることは、意外と多いものです。
