まだ肌寒さが残るとある週末、なんとなく気分転換でもするかと思って、
親戚の植木農場にふらっとオジャマしてきました。
そろそろタケノコの季節かなと思っていたら、やっぱり、あちこちから顔を出していたんですよね。
にゅるっと伸びてきてるあれを見ると、なんというか、自己主張が強いなと思ってしまいます。
「今年も来ましたけど、なにか?」みたいな顔をしてるように見えるんです。
で、なんとなく立ち止まって、じーっと見ていたんですが……あれ、すごいですよね。
あんな細長い状態でぐんぐん伸びて、それでも倒れない。
重さで折れてもおかしくなさそうなのに、しれっと「生えてますけど?」って顔してる。
ちょっと悔しくなるくらいに堂々としています。
それで、ふと思ったんです。
「竹って、どんな構造してるんだろう?」って。
「なんで、あれで立っていられるんだろう?」と。
竹って、よく考えると「中空(ちゅうくう)」なんですよね。
つまり中身が詰まっているわけじゃなくて、パイプみたいに空洞なんです。
それでいて強い。しなっても折れないし、風に吹かれてもへこたれない。
建材としてよく使われる理由が、なんとなくわかる気がしました。
軽くて、強くて、ほどよくしなる。理にかなってるなぁと感心します。
この中空構造って、建築でもけっこう使われています。
たとえば鉄骨のH鋼とか角パイプなんかも、似たような発想です。
外側に強さを持たせて、中は抜いて軽量化する。
そうすることで、荷重に耐える「強さ」と「扱いやすさ」のバランスがとれるんですよね。
あのタケノコが、生命進化の中でその構造を自然に作って成長していくと思うと、
なんかもう、勝てないなって思ってしまいます。
人類が一生懸命CADで設計して、強度計算して、材料選んで……ってやってるのに、
向こうは土から顔を出すころには、すでに完成形に向かって準備万端です。
しかも、ただ生えてるだけでエコ。ちょっとずるいです。
建築って、「人が立つための構造」を考える仕事でもありますが、
自然のものって、最初から「立てる形」をしてるんですよね。
木もそうですけど、竹のように縦にすーっと伸びて、風を受け流して、
必要最小限の材料で最大限の機能を発揮する。
効率が良すぎて、悔しいやら感心するやら、ちょっと複雑な気持ちになります。
そんなことを、タケノコの写真を撮りながら、しゃがんで考えていたら、
植木屋の叔母に「掘ってく?」と聞かれました。
いや、掘らないさ。もう食べれる頃合いはとっく。