「加瀬くん がなにか言ってます。」

スタッフブログ

「加瀬くん がなにか言ってます。」

「 進化と間取り 」と言われています。

ハヤシ工務店 広報の捕虫担当 加瀬です。

梅雨入りしたと思ったら、急に夏のような暑さがやってきました。
いや、暑い。いくらなんでも唐突すぎます。
このまえ始まったばかりのしとしと雨の空気感が、一瞬で“うだるような”に切り替わったせいで、
身体がまだ追いついていません。

そんなふうにぼんやりしながら、行きつけの園芸店を歩いていたら、
店頭にずらっと並んだ食虫植物が目に入りました。
あの、ちょっと不思議な見た目のやつらです。
ハエトリソウ、ウツボカズラ、サラセニア……。
暑くなってくるとよく見かけるようになる植物ですが、
改めてじっくり見ると、なかなかよくできているというか、「合理的に気持ち悪い」というか。
(いやまあ、ビジュもちゃんとアレですけどね)

あの「虫をおびき寄せて、取り込んで、消化する」という流れ、
構造としてはすごくよくできています。
虫の好むニオイや色で引きつけて、
すっと吸い込むような動線で中に誘導し、
逃げられない構造で「確保」。
進化のカタチが特殊すぎて、ちょっと尊敬してしまいます。

で、思ったんですけど、
あれって、住まいにおける“動線設計”にも似てるなあと。
もちろん、人間を食べたりはしませんけどね。
でも、「自然にそこに誘導されてしまう」という意味では、
動線づくりにおける理想型なんじゃないかと思うわけです。

例えば、玄関からリビング、キッチン、洗面所までのつながり。
あるいは帰宅して手を洗い、荷物を置いて、部屋着に着替えてからリビングへ……みたいな、
“動作の流れ”が自然につながるように作られていると、暮らしって一気にスムーズになるんですよね。

間取りって、ただ部屋を並べればいいってものじゃなくて、
「どの順番でどこを通るか」をちゃんと意識して設計することで、
日々のストレスが確実に減ります。
食虫植物で言えば、虫が“うっかり入ってしまう”ように、
暮らしの動線も“気づいたらそこにいる”ような自然さが理想なんです。

特に最近は、“回遊動線”って言葉をよく聞くようになりました。
ぐるっと一周できるような配置にしておくと、家事や移動がしやすくなるというやつです。
たとえばキッチンからパントリーを抜けて洗面室に行けたり、
リビングとダイニングの間をぐるっと回れるようにしたり。
人の動きが止まらないことで、渋滞もなく、家の中の流れがなめらかになるんですよね。

これ、例えるならウツボカズラの内部みたいなもので、
一方通行になりすぎると、逆に使いにくくなることもあるけれど、
ちゃんと出口も見えていれば、安心して動けるわけです。

そしてもうひとつ、食虫植物から学べることがあるとすれば、
「引きつけ方がうまい」ということです。
見た目が特徴的だったり、匂いがあったり、蜜があったり。
“ここに来たくなる仕掛け”がちゃんとある。

これ、家づくりで言えば“視線の誘導”とか“空間の見せ方”に通じます。
たとえば玄関を入った瞬間に、窓の向こうの庭が見えるとか、
リビングに入ると吹き抜けの天井が目に飛び込むとか、
「お、いいな」と思わせる要素が、自然とその空間に人を導いてくれる。

結局、人も虫も、心地いい場所や面白い場所に惹かれるんだなあと。
だから住まいにおいても、視覚的な“つかみ”は案外重要です。
動線と空間の“呼び込み”は、セットで考えるべきなのかもしれません。

そう考えていくと、
“暮らしやすい家”って、別に特別な機能がある家ではなくて、
毎日の動きがスムーズで、居場所が心地よくて、
なんとなく自然にそうなってるような家なんだろうなと思います。

そしてそれは、やっぱり間取りの設計にかかっている。
どんな順路で動いて、どこにとどまるのか。
どこで気持ちが切り替わって、どこでリラックスできるのか。
それがちゃんと“生活の流れ”に沿って組み込まれていると、
ストレスが減るだけじゃなくて、暮らしそのものが楽しくなります。

ということで、今日の気づきは「食虫植物、すごい」でした。
ただの珍しい植物だと思っていましたが、
その形や仕組みの中に、暮らしに応用できるヒントが詰まっている。
まさか動線設計の参考になるとは思いませんでした。

食虫植物、意外とそこらで簡単に手に入るのでおすすめです!
でも、虫を捕るからって虫よけにはならないのでご注意を、、、。
彼らは、生きるために虫を捕獲していますので、
むしろ虫を近くに呼び寄せる能力も備わっていますから。

 

 

ちなみに、サムネの植物はサラセニアという食虫植物。
中心からいくつものツボが生えてきて、それが捕虫袋になってます。

このツボの内壁に蜜が出ていて、それを食べに来た虫をとらえるってわけです。
内壁は、下向きの毛が無数に生えており、一度入ると抜けだせないんです。

いやはや、よくできていますね。