ハヤシ工務店 企画広報課の植物担当、加瀬です。
庭の隅にあるアジサイが、ふと気づいたら咲いていました。
関東ももう梅雨ですけど、こういうのを見ると「ああ、そんな季節か」って思います。
雨が好きかと言われたら、正直結構好きな部類です。
梅雨時期も好きかと言われたら、別にそこまで好きではないですけど、、、。
アジサイが咲いてるのを見ると、「まあ、梅雨も悪くないかもな」とか思わせてくれるから不思議です。
ただ、梅雨っていうのは、やっぱりちょっと厄介な季節でもあります。
洗濯物は乾かないし、床はべたべたするし、湿気のせいで体も気分もどこか重たい。
しかも建物にもダメージが出やすい時期ですからね。
なので今日は、アジサイきっかけで、そんな梅雨の暮らしについて、ぼやぼやと考えてみました。
まず、じめじめ問題。
これはもう、日本の梅雨に住む以上は避けて通れない宿命みたいなものです。
ハヤシ工務店のある千葉県の海匝地域はなおさらです。
エアコンの除湿機能もありがたいけれど、あまり頼りすぎると電気代もしっかりと怖い。
最近は「再熱除湿」なんて高機能な機種もありますけど、全部の部屋に設置するのは現実的じゃないですしね。
で、結局たどり着くのは、「風の通り道って大事だな」って話です。
窓の位置、開け方、風の抜け方。
間取りを考えるとき、「どこに風が通るか」を意識しておくと、こういう季節に本当に差が出ます。
風通しがいい家って、梅雨でも空気がよどみにくいんです。
設計のときは“南北に抜ける風”とか“対角線上に窓を”なんて理屈で考えるんですが、
暮らしてみると「ああ、ちゃんと風が抜けるって、こういうことか」と実感します。
あと、梅雨時期は床材や壁材の“呼吸”も大事です。
例えば無垢材の床。湿気を吸ったり吐いたりしてくれるので、べたべた感が少し和らぎます。
もちろんメンテナンスは必要ですけど、そのぶん季節とともに“生きてる感じ”がある。
漆喰や珪藻土の壁も同じですね。調湿性があるので、室内の湿度を自然に整えてくれる。
機械に頼らず、素材そのものが働いてくれるのって、やっぱり安心感があります。
逆に言うと、気密性ばかり高くて調湿の仕組みがないと、こういう時期に“湿気のたまり場”ができやすいんですよね。
クローゼットの隅とか、使っていない和室とか。そういう場所からカビが忍び寄ってくる。
たかが湿気、されど湿気。油断ならない相手です。
とはいえ、雨そのものを嫌ってばかりでもつまらないので、
“雨の日の過ごし方”をどう楽しむか、って視点も大事だなと思っています。
たとえば縁側とか、インナーテラスみたいな半屋外のスペース。
雨に濡れずに外を感じられる場所があると、梅雨の憂鬱さもだいぶ変わってきます。
雨音を聞きながらぼーっとする場所って、現代の暮らしではちょっとした贅沢ですよね。
軒を深く出しておけば、窓を開けたままでも雨が吹き込まないし、
ちょっとしたベンチを置くだけで、“雨の日の特等席”ができあがります。
室内でも、照明を少し落として、読書を楽しむとか、
お気に入りのマグカップでコーヒーを飲むとか、
そういう「雨と相性のいい時間」を暮らしの中にちょっとずつ作っていくと、
梅雨の鬱陶しさが、少しだけ「落ち着いた季節」に見えてくるから不思議です。
まあ、結局のところ、アジサイを見て思ったのは、
「この季節、どうせなら“快適にあらがう”より、“うまく付き合う”方がいいな」ということです。
全部をコントロールしようとすると疲れますし、どこかで自然と折り合いをつけるくらいがちょうどいい。
建築も、暮らしも、そんな“余白”があると、なんだか心に余裕ができる気がします。
というわけで、今日は湿った風に吹かれながら、ちょっとだけアジサイに感謝したくなったのでした。