百術不如一誠

社長ブログ

百術不如一誠

大工工務店としての「矜持と意地」 3/30

職人として、ある程度出来るようになると、
もっと、もっとと高みを目指す。
やる気のある若手の職人は皆そうかもしれない。
私も実際そうっだし、兄弟子もそうっだった。
しかし、高みを目指せば目指すほど、
次々に問題にぶち当たり、あまりの無知識に、
うちのめされる。
今思うと、本当に恥ずかしい。(笑)
20代の私は、この繰り返しの連続っだ。
いや、職人を続ければ続けるほど、
この連続が永遠につづく、
弊社の棟梁は65才を超えるが、
今でも、進化をしてると感じさせる。
これは、何年か前の経営方針発表会でも
言った、まさに「世阿弥の言葉」だ。
しかれば当流に万能一徳の一句あり。
初心忘るべからず。
この句、三か条の口伝あり。
是非とも初心忘るべからず。
時々の初心忘るべからず。
老後の初心忘るべからず。
この三、よくよく口伝すべし
「是非とも初心忘るべからず」
初心者の頃のみっともなさ、手つきの悪さを忘れないこと。
そうすれば、未熟さを忘れないで自分の技術の上達が
正しく理解でき、失敗を防ぐことができる。
「時々の初心忘るべからず」
歳を重ね腕が上がっても、常にその歳相応の技術を学ぶ必要に迫られる。
すると、段階段階でまた初めてのことにぶつかる。そうした時々の初心も
忘れてはならない。
「老後の初心忘るべからず」
達人の域に達しても、足を踏み入れた時点でそこは未知の領域。
終わりはなく、どこまでいっても初心がある。それを忘れないことで、
歳をとっても最後まで新たな試練に立ち向かえる。
つまり、職人の技術力の向上(高みを目指す)には終わりはない。
まさに、弊社の棟梁はこの世阿弥の言葉通りだ。
だから、65才を過ぎても「進化してる」と感じるんだろう。